2008年2月13日水曜日

学習環境としてのブログを考える 2 - UML で概念モデリングしながら

前回 は、ブログの利用方法が、当初考えていたものから変化してきたことを述べた。メモを書き散らかした集積所から、メモを利用した学習の場へと変化させたい。そのための、概念的な前提を考えた。

今回は、学習のためのツールとしてブログを見たときに、どういった構造を持っているか、意味的なレベルで考えていくことにする。ここで「意味的」というのは、人間から見て有益だと思える情報の単位を対象として捉えるということである。ブログのシステムにおける実装に関心があるわけではない。どういったものが学習に際して有益な情報であり、実際にそれをどのように管理するか考える橋渡しとする。

 

意味 (概念)  レベルで考える

検索のためのタグ付け

メモ (一般的に、ブログシステムから見たら「記事」) は、後で検索されることを目的とする。忘れたときに見返すのがメモだ。そのため、検索の手がかりとするために、メモには複数の「タグ」を付ける。

タグは、非常に曖昧な概念だ。使い方によって、意味が変わってくる。メモを分類するためのカテゴリーとして利用することもできるし、メモの中心となるキーワードを列挙することもできる。また、メモの文脈情報を付けると、後で検索がしやすくなったりする。

080126-002タグというのは、記事に対するメタ情報として利用されることが多い。例えば、記事と全く関係のないタグを付けるということは、通常考えられない。情報を整理する目的だけなら、記事に対して、カテゴリ付けをするだけでよい。しかし、後で検索することを目的とするならば、検索されやすくしなければならない。(タグの付け方の方略については、後日メモする。 CCC )

右図は、一つのメモに対して、複数のタグが付けられ、また、一つのタグに対して、複数のメモが属していることを表現している。 (先に述べたように、タグにはサブタイプを想定しているが、ここでは省略する。)

 

「疑問・後で調べる」の目印

メモを書いていると、「疑問」に思ったり、「後で考えよう」と思う事柄がでてくる。メモの内容は、一々全ての疑問を調べあげてから書くわけではない。もし、完全に全てのものを明らかにしてから書くとしたら、いつまでたっても書き出せなくなる。

まず、「メモ」は複数の「文」から構成されている。

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「疑問」「後で調べる」の目印をつけるのは、特定の「文」に対してである。

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メモ間の関連

メモは、前回のメモの続きを書いたり、後で読むときに同時に参考にするとよいメモを指し示したいことがある。メモは単独で存在するのではなくて、メモのネットワークの中に関連付けられて存在する。つまり、メモとメモの間には何らかの関連が存在し、それを記録することによって、トレーサビリティを高めることができる。

下図は、ある一つのメモが、複数のメモに関連付けられる可能性があることを示している。

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メモのまとめ

メモがたまってくると、特定の視点からまとめたくなってくる。例えば、GIMP のことに関して書いてあるメモがたまってきたとする。そうすると、GIMP という一枚のページから各メモを俯瞰できるようにしたくなる。タグで 「GIMP」 とついているメモを抽出してもよいが、タグによる抽出 (検索結果) では個々のメモが独立していて、情報の流れ・幹というものが存在しない。また、情報へ辿りつくまでのスピードも落ちるし、トレーサビリティも落ちる。そして、メモの知識が頭の中でつながりを持った状態にもなりにくい。そのため、メモの知識を構造化するための「まとめ」のページが必要になる。

下図は、「まとめ」のページが、複数のメモに対してリンクしていることを示している。また、逆に、一つのメモは、複数の「まとめ」ページからリンクされる可能性がある。

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「まとめ」同士のつながりは、「まとめ」と「メモ」との関係とは異なる構造になるように考えた。「まとめ」と「メモ」は、ネットワーク構造になっている。ネットワーク構造というのは、全体の構造を理解する場合、把握するのが難しい。ネットワークを辿る経路が複数存在してしまうからだ。これに対して、例えば、ドキュメントのようなものは、目次があり、章があり、個別の説明がある。これはツリー構造だ。部分は、一つの上位概念にのみ所属し、複数の上位概念には所属しない。これにより、部分へ辿りつくための経路が少なくなる。

ある情報が、全体の中でどのように位置付けられるかという情報によって、個別の理解が促進することがある。上記の「まとめ」は、一連の「まとめ」の構造において、ツリー構造となるように考えた。ある「まとめ」は、ある一つの「まとめ」に所属するが、複数の「まとめ」には所属しない。なんでもかんでも好きなように分類できる余地を排除し、分類同士は排他的になるように括っていくという制約をつける。

 

「続きを書く」目印

メモを書いていると、「これに続く内容を考えて、後に続けたい」と思うことがある。「メモに続きが存在する」という意味ではなくて、「このメモから続けたい」という意思だ。往々にして、これを頭の隅にだけ入れておくと、いつの間にか忘れ、考えていたことすら思い出せなくなる。先に、「疑問」「後で調べる」という目印を付けることを考えたが、これと同じように「続きを考える」という目印を、文に対して付けるようにする。

下図は、「疑問・後で調べる」と「続けたい内容がある」を「目印」のサブタイプと考え、それを特定の文に指定すると考えた。

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タグの構造化

メモに、関連する言葉をたくさんタグ付けていると、タグの間の関係を規定したくなる。先に述べたように、カテゴリー、概念の類似性などを表現したい。これにより、タグから対象のメモへのトレーサビリティを高め、知識の構造化を促進させる。

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