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2008年9月29日月曜日

「煮詰る」って誤用なの?

1. 「誤用」というのが、そもそも言葉の本質からして誤用

言葉の誤用としてよく挙げられる 「煮詰る」 という言葉。

例えば、「これ以上考えても、どうしようもない」という意味のつもりで、次のように言ったとする。

「(プログラムの) コードを書いていたら、煮詰まったので気分転換しよう」

この言葉遣いに全く違和感を感じないし、そのような状況のとき、この言葉が自然と頭に思い浮かぶ。

しかし、Yahoo!辞書 - に‐つま・る【煮詰(ま)る】 によると、

討議・検討が十分になされて、結論が出る段階に近づく。

とある。自分が使っている言葉の感覚とは、真逆のことが書かれている。

上記に続けて、次のような解説がある。

近頃では、若者に限らず、「煮詰まってしまっていい考えが浮かばない」のように「行き詰まる」の意味で使われることが多くなっている。本来は誤用2の意は1900年代後半に始まるようである。「行き詰まる」の意は1950年ころの使用例があるが、広まったのは2000年ころからか。

ここで気になるのは「本来は誤用」と書かれている点。「誤った用い方」というからには、「正しい使い方」があることを前提としている。

恐らく上記で用いられている「誤用」という言葉は、次のことを意味しているに過ぎない。

「ある特定の時代における、特定の集団において、多くの人が使っている使い方とは違う」

100年単位のマクロな視点から見れば、日常的な言葉が担っている意味など、吹けば飛ぶような将棋の駒。同じ言葉でも、それが意味するところは変化する。それに対して、「本来」とつけるのはナンセンス極まりない。

ただし、時間的にも空間的にも有限な自分が言葉を使ってコミュニケートできるのは、まさに「ある特定の時代における、特定の集団において」なので、これを「本来」と言いたい心情も分かる。

 

2. 言語というツ-ルの特徴は、コンテキストによって決まること

サピア の 「言語―ことばの研究序説」 によると、

… 言語要素は何よりもまず、記号である。 … 幾千もの異なる経験を包含し、なおその上に、幾千もの経験を進んで取り入れようとする、思考の便利なカプセルに対する記号なのだ。 (p.29)

言語の本質的な事実は、むしろ、概念を分類し、形式的なパタン化をし、関係づけることにある。(p.42)

「言葉の意味は使用によって定まる」と、昔、友人から聞いたことがある。まさにその通り。

言葉は「製品」のように想定される使われ方があるのではなく、使い方の決まっていないツール。他人が使っているのを見て使用されるコンテクストを覚え、自分が使うときの指針とする。

ツールの使い方を決めるのは自分自身であり、他人によって承認される。

 

3. 「煮詰る」 と 「煮 + 詰る」 は違う

さて、最初に挙げた例に戻る。

「(プログラムの)コードを書いていたら、煮詰まったので気分転換しよう」

なぜこの言葉使い方が、自分にはしっくりくるのだろう?「本来」誤用であるにもかかわらず。

 

a. 「行き詰まる」では、しっくりこない

先ほどの辞書の解説に、煮詰まるは 「行き詰まる」 の間違いであると書かれている。しかし、次のように「行き詰まる」を「煮詰まる」で置き換えても、自分にはしっくりこない。

「(プログラムの)コードを書いていたら、行き詰まったので気分転換しよう」

自分がイメージするする「行き詰まる」の意味は、進んでいる先の道が行き止まりで、前に進もうにも壁が阻んでいるというもの。進もうにも進めない場面でしか使わない。行き詰まった先には 「諦め」 が予定されている。「気分転換」など、悠長にしている場合ではない。

これに対して、自分が使う 場合の「煮詰る」 が意味しているものは、必ずしも行き止まりではないし、その後「諦める」 かどうかは状況による。自分が伝えたかった言葉の意味は、

「気分転換したら、別の方法で再チャレンジしてみよう」

ということ。 「行き詰まった」 という言い方より、 「詰り方」 に希望が持てるつもりで言葉を用いている。

 

b. 自分の「煮詰まる」のイメージの由来

では、なぜそのような言葉のイメージが生まれたのだろうか?

元々、「煮詰まる」とは、「煮えて水分がなくなる」煮物より完成を暗示する。これは自分が使う言葉に対するイメージとは全く異なる。

自分の場合、ここでの「煮る」の意味は、

  1. 煮る「対象」があり、
  2. これを調理する

ことを指す。そして、「詰まる」は、「煮る」の意味から独立していて、

「考えに詰まる」

という意味と関連している。

つまり、この言葉を使うとき、

  1. 煮る対象が「思考」に相当し、
  2. それらが煮たことにより、形が崩れぐちゃぐちゃになる

というイメージと結びく。よって、

煮る + 詰まる

の二つの語が合成されたものと認識している。決して「煮詰る」の 1 語に由来した意味を意図しているのではない。

表面上は「煮詰る」と同じように見えるけれど、自分のイメージしている言葉は、「本来の意味」と言われる「煮詰る」とは、全然意味合いが違う。

 

4. 最後に

新しい概念の誕生は、必ず、古い言語材料の多少のこじつけた、または拡張した用法によって予示されている。

(言語―ことばの研究序説, p.35 より)

 

5. 関連サイト

2008年5月21日水曜日

iKnow でベーシック英語を学ぶ

1. これまで英語の勉強をする機会を作らなかった

英語にはじめて触れてから、どれくらい経っているだろうか?一生懸命勉強したのは、受験勉強をした高校まで。文法中心でヒアリングや会話の練習をしたことがない。

そのため、未だに英語をしゃべることはできない。身の周りのものを英語で言うことすらできない。大学時代は、英語の論文を読まざる負えないときだけ読んだ。仕事で英語のサイトを読む必要があったり、読みたい本が英語である場合は、仕方なく読んでいた。

必要に迫られてから、必要な内容にぶつかるというのが一番身につく。これまで、英語を話さなくてはいけない状況に陥ったことがない。だから、話せないし、文章を書くこともできない。簡単な内容でも、英語で言うことができない。

英語を勉強したいと思っていても、機会を作ってこなかった。せめて、英語を聞きとれるようになりたい。

 

2. iKnow でマイペースに学習する

ラジオやテレビの英語の番組を録画して学ぼうとしたことがある。

ラジオやテレビで英語を学ぼうとしても、よほど気合いを入れないと続けることができない。

これに対して、iKnow はイイ。ネット上のサービスなので、自分のペースで学ぶことができる。

学習するためのアプリは Flash で作られており、動作がスムーズ。学習状況の進捗の管理もしてくれる。どれくらい学習が進んだのか、把握できるガジェットが提供されているところも良い。

モチベーションをいかにして保つかという、学習にとって一番の原動力を保つための設計がされている。SNS 的なところも取り入れられており、次世代の Web アプリだと関心した。

 

3. ベーシック英語とは

ところで、数少ない単語で英語を組み立てる、「ベーシック英語」というものがある。

ベーシック英語 - Wikipedia によると、

イギリス心理学者言語学者チャールズ・ケイ・オグデンによって考案された人工言語である。文法は英語の文法を簡略化したもので、少ない単語で表現されている。

人工的な言語である「エスペラント語」と比較しても、学びやすいらしい。

オグデンによると、通常の英語を学習するには7年、エスペラントには7ヵ月必要であるのに対して、ベーシック英語は7週間で学習することができるとされる。 (同上より)

ベーシック英語の特徴は、

動詞、名詞が少なくなっている分を、複数の語を組み合わせたり、一つの単語に複数の意味を持たせたりすることで補っている。 (同上より)

850語で考える英語―ベーシック・イングリッシュ: 後藤 寛: 本 (p5) によると、単語を合成することに関して、基本的な原則として、次のように述べられている。

850語中の基本的にどの語も他の語と結合させ、いわゆる合成語として用いることができる。

eye + glass → eyeglass

rain + drop → raindrop

 

4. 語の合成

  サピアの「言語」には、「合成語」の例として、複雑な語の例が述べられている。

ユタ州南西部の乾燥した高原に住むインディアンの言語だ。 wii-tokuchum-punku-rugani-yugwi-va-ntu-m(u) という語は、この語をもつ言語自体にとってさえ異常に長いものだが、それにもかかわらず、心理的には少しも奇怪な語ではない。これは、「これからすわってナイフで黒い雌牛(または雄牛)を切り分けようとしている連中」という意味である。このインディアン語の要素の順序どおりに言えば、「ナイフ - 黒い - 野牛 - 所有物 - 切り分ける - すわる(複数) - 未来分詞 - 有生複数」である。(p56)

(太字は引用者による)

これ、文じゃないの?と思ったけれど、これで一語らしい。

 

5. iKnow のベーシック英語

iKnow にベーシック英語のコースがあった。

今度は続けることができるかもしれない。