2008年9月18日木曜日

乳母車より歩行車を

一人暮しのばぁちゃん

ばぁちゃんは齢 80 をこえ一人暮しをしている。去年、じぃちゃんが亡くなった。じぃちゃんが亡くなる少し前から、ばぁちゃんの足腰は弱くなっており、何かにつかまらないとフラフラしてしまう。家のいたるところに手すりをつけるための工事をした。古い家で、昔は商売をしていたので、バリアフリーについては全く考慮されていない。

外にでかけるとき、はじめは乳母車を使っていたけれど、これがいけない。自分で触ってみてはじめてわかったのだが、乳母車は足腰が弱った人のためのものではない。あくまでも健康な老人が荷物を運ぶためのものだ。そういう認識でいなければいけなかった。まず、方向転換が非常にしにくい。勿論、ものによっても違うと思うけれど、多くの乳母車は、曲がるための半径が結構でかい。最悪なのはブレーキの位置で、手をかけるところをしっかりと握ってしまうと、いざというときにブレーキに手をかけることができない。

じぃちゃんはこの乳母車を押し、その日、間違えて底がツルツルの靴を履いて買物に出かけてしまった。そして、転んで大腿骨を骨折。老人の骨折の中では、典型的なパターンだ。そして、医師からそうなった場合の 1 年後の生存率について教えられた。正直、「なぜ骨折しただけで?」と思った。その後、脳梗塞も併発し、言葉も奪われた。もしかすると、脳梗塞がキッカケで転んだのかもしれない。それまで、90 をこえても耳が遠くなり、少し足腰が弱くなった程度で、基本元気な人だったので、病院で寝たきりとなった後、「早くあちらへ行きたい」と言っていた。その言葉も段々と発することができなくなった。病院にお見舞に行くとニコリと笑うか、何かを言っていたのだけれど聞きとることができなかった。一度でいいから、自分の家に帰りたかっただろうと思う。最後は病院の一室で、ばぁちゃんに看取られて亡くなった。

 

歩行車

乳母車が非常に使いにくいため、同様のものをいろいろと探した。しかし、中々見つからない。そのとき、たまたま「福祉住環境コーディネーター」の勉強をしていたので、「歩行車」という言葉を知っていた。しかし、歩行車にもいろいろとあったけれど、「これだ!」と思うものがなかった。結局、「ウォーキー」という歩行車を購入した。日本製でないため、S サイズでも体の小さな祖母にとっては座面が高かった。そして値段も少し高かった。 ^^; それ以外は何の問題もない。その場でくるっと向きを変えることもできるし、ブレーキもしっかりとしていて、つかみやすい。 ^^  乳母車と違って、体をすっぽり中に入れるため、体を支えるときに下方向に力を入れることができる。このため、普通に歩くときのように歩行が可能になる。

今購入するなら、イーストアイの「ロレータ 」を選択すると思う。実際に福祉展で見て触ってきたのだけれど、日本人向けになっている。祖母が購入した「ウォーキー」の座面の高さは 48 cm 。それに対して、ロレータは 44 cm 。これだけ低いものは他では見たことがなかった。値段もウォーキーの半額以下だった。

 

使い勝手は使って確かめる

使い勝手というのは、実際に使ってみないとわからない。じぃちゃんが乳母車を使っていた。それが普通だと思っていた。使いやすいのかどうかということに関心が向かない。「老人ならば乳母車」という固定観念。昔の人だから不平を言わない。そういうものだと本人も思っている。

じぃちゃん家に行けば、乳母車が置いてあった。そして、それを使って唯一楽しみの買物にテクテクと歩いて行っているのも知っていた。そして、倒れた。体を支えることができずに。あのとき触って使い勝手を確認しておくべきだった。そうしたら、別の死に方ができたかもしれない。じぃちゃん、ごめん。