1. SKK が恋しくなってきた
日本語の入力に Google 日本語入力 を利用している。
変換効率の良さ。入力ミスしても間違いを指摘してくれる気の利いたところ。サジェストされる単語を見ながら素早く文字を確定。気がづけば、入力と同時に変換候補に視線が移動し、左手の小指は Tab キーを押す準備をしている。
打鍵を減らすために AZIK 方式にカスタマイズできるところも良い。
Google 日本語入力を使う前は、SKKIME を長い間使っていた。SHIFT キーを多用するマニュアル操作が妙なダイレクト感を生む。
最近、また SKK の入力方式が恋しくなってきた。久しぶりに使ってみようかな。
2. CorvusSKK と SKK日本語入力FEP
Windows 環境で SKK を利用したい場合、現在のところ SKKIME 以外に CorvusSKK,SKK日本語入力FEP がある。この二つを比べてみる。
WindowsのSKKでACT(Dvorak版AZIK) によると、
WindowsでSKKを使用する手段としては昔からある SKKIME と最近登場した CorvusSKK,SKK日本語入力FEP がありますが,個人的にはCorvusSKKが一番オススメです.
skkimeの後継について - しげぽん日記
実際に使ってみたところSKK日本語入力FEPって非常にキモい。慣れればどうっちゅう事もないんだろうけど、入力の方法はたしかにskkなんだけど見た目skkじゃない感じ。まぁおもしろそうではあったんだけどそこまでこだわる事もないなと思った。
次にCorvusSKKを使ってみたら、まぁ普通に使えた。こっちの方が自分としては(というか従来からのskk使いはみんなこっちがいいって言うんじゃないかと思うんだけど)やっぱり使いやすいのでこれを使う事にした。
SKK - 日本語を書くなら絶対に導入したい! 私が10年で厳選した超おすすめ入力メソッド10選 – Qiita によると、
3位に輝いた CorvusSKK ! これはWindowsで動作するSKKで、Windowsストアアプリ上でも動作します。
栄光の第1位は… SKK日本語入力FEPです!
SKKの伝統を受け継ぎつつ、現代的な日本語入力メソッドとして再設計され、ほかの日本語入力からの移行も違和感がありません!
SKK日本語入力FEP を試してみようとしたが、自分の環境ではインストーラーが起動しなかった。そこで、今回は CorvusSKK を使うことにした。
Corvus の意味はカラス?
ちなみに、corvusの意味 - 英和辞典 Weblio辞書 によると、
コルウス、からす座、烏座、crewやカラスの同義語(異表記)、烏座、コルウスまたはコルバス (corvus) とは、ローマ帝国海軍の兵器の一種で、ガレー船に備え付けられた渡し板、もしくは梯子である。
ガレー船 – Wikipedia によると、
衝角や投石機や弓による射撃攻撃も行われたが、やはり白兵戦が海戦の主役であった。ローマ海軍では移乗戦闘用に「コルブス」(カラス)と称される斬り込み用の跳ね橋を艦首に有し、敵艦へ強行接弦後、スパイク付きの橋を下ろして船間を固定。ここから武装兵を突入させる戦術を多用した。
ということは、Corvus (コルブス) って、アプリに橋をかけて切り込むってこと?
3. CorvusSKK のインストールと設定
より、最新バージョンをダウンロードして解凍。
自分の場合、OS は Windows 7 64bit なので、corvusskk-x64.msi を実行し、ウィザードに従いインストールを行った。
インストール後にコンピューターを再起動をする。
その後、言語バーで CorvusSKK に切り替え、入力方式より「設定」を選択すると、設定ウィンドウが開かれる。
辞書の設定
最初に辞書の設定を行う。
SKK辞書 - SKK辞書Wiki より、SKK-JISYO.L をダウンロードして解凍。
において、「追加」ボタンを押し、辞書ファイルを指定する。
その後、「取込」ボタンを押し、辞書を取り込んだ。
これで SKK 方式による日本語入力ができるようになる。もし、辞書が利用できない場合、Ctrl + Shift キー を押して、一度 IME を切り替え直すとよい。
日付入力のための辞書
SKK-JISYO.lisp - みずぴー日記 によると、
実は「今日の日付」のような複雑なEmacsLispの式を含む変換候補は、通常の辞書とは別で管理されています。…
CorvusSKK
一方、CorvusSKKはここの実装をがんばっていて、いくつかの関数もサポートしています。すごいです。
より、ダウンロードして、上記と同じく辞書の取り込みを行う。
これにより、「きょう」「あした」「きのう」`/today’, `/now’ により日付や時間に変換できる。
4. AZIK の設定
次に、入力方式を AZIK に変更する。
Release CorvusSKK 2.2.3 > corvusskk-2.2.3.zip を解凍したフォルダの中に
がある。この中に AZIK の設定ファイルがある。
自分の場合、US 配列のキーボードを使っているので、
を config.xml に名前を変更した。
設定ファイルは %AppData%\CorvusSKK に置かれている。
このフォルダの中にある config.xml を上記ファイルと置き換えた。
打鍵について
Google 日本語入力で AZIK 方式にカスタマイズしたとき、「じ」を `ji’ で入力していた。「じ」は `zi’ で入力するのが本来の打ち方だった。
また、小さな「ぁぃぅぇぉ」を入力するために、`l’ を入力してから母音を打鍵していた。ここでは `xx’ を入力してから母音を打鍵する。
AZIK総合解説書AZIK の SKK チュートリアル によると、
☆「ゃゅょ」などの小さな文字を単独で入力するときは、「XX」を前置する。
例:わぁ→WAXXA くゎ→KUXXWA [*]
注)純正の AZIK では「L」を前置する。
5. 設定・辞書ファイルをクラウドに移動
PC が壊れたときのために、設定・辞書ファイルはクラウドに保存しておく。
今回は Amazon Cloud Drive を利用した。
Amazon Cloud Drive をインストールすると、
- C:\Users\ユーザ名\Cloud Drive\
が作られる。最初に Cloud Drive 直下に programs フォルダを作成した。
- C:\Users\ユーザ名\Cloud Drive\programs\
次に programs フォルダに
を移動した。ただし、普通に %AppData%\CorvusSKK フォルダを移動することはできない。理由は、その中にある辞書や設定ファイルをCorvusSKK が利用しているため。
そこで、予め Unlocker で %AppData%\CorvusSKK フォルダのロックを解除しておいた。
その後、C:\Users\ユーザ名\Cloud Drive\programs\ 以下に %AppData%\CorvusSKK フォルダ を移動した。
最後に、Link Shell Extension を用いて、「移動先のフォルダ」から「移動元」へシンボリックリンクを貼った。
もし、ロックの解除が上手くいかなかった場合、CorvusSKK 以下の各々ファイルに対して、シンボリックリンクを貼れば良い。
環境変数を設定
Amazon Cloud Drive へのパスを環境変数に設定しておいた。
において、新規ボタンを押し、変数名 CLOUDDRIVE を設定し、変数値として Amazon Cloud Drive へのパスを入力する。
6. Google 日本語入力の変換を利用する
追記(2014/4/2): 最後に、CorvusSKK から Google 日本語入力 の変換を利用できるようにしておく。
より、crvskkserv-1.1.0.zip をダウンロードして解凍し、crvskkserv.exe を起動する。タスクトレイにcrvskkserv のアイコン が表示されるので、クリックして設定画面を表示する。
設定画面の 「GoogleCGIAPI追加」ボタンを押すと、GoogleCGIAPI追加ダイアログが表示されるので、OK ボタンを押す。
ポート番号の 1178 を控えておく。
次に CorvusSKK の設定画面を開き、「辞書」タブを選択し、
にチェックを入れ、ポートに 1178 を入力する。(※ 末尾に空白が入力されてないことを確認すること)
corvus-skk で用意されている crvskkserv の方が、下記の google-ime-skk を利用する方法よりも、変換のレスポンスが余良かった。
追記(2014/4/24): 上記の「タイムアウト」の時間が 1000 msec だと変換がもたつく。そこで、この値を 5 msec に変更した。
googel-ime-skk をバッチファイルで起動して使う方法は遅かった。
上記以上の方法として、
で利用した google-ime-skk を利用することもできる。
ここでは、Amazon Cloud Drive の直下に skk フォルダ を作成。その中に以下の内容のバッチファイル googleime.bat を作った。
google-ime-skk
次に CorvusSKK の設定画面を開き、「辞書」タブを選択し、
にチェックを入れ、ポートに 55100 を入力する。
バッチファイルを実行すると、Google 日本語入力の変換を利用できるようになる。
ただし、バッチファイルを実行すると、コマンドラインを実行したウィンドウが表示されてしまう。
ウィンドウが表示されないようにするには、googleime.bat と同じフォルダに、以下の内容の googleime.vbs ファイルを作成する。
CreateObject("WScript.Shell").Run """%CLOUDDRIVE%\programs\skk\googleime.bat""",0
そして、ログインしたときに上記ファイルを実行するために、ショートカットをスタートアップ フォルダ に登録しておいた。
7. プロセスの優先度を高くする
最後に、入力したときのレスポンスを良くするために、skk に関するプロセスの優先度を高く設定しておいた。
プロセスの優先度を変更するアプリは様々ある。自分は、PC を起動するときのアプリを遅延させる Startup Delayer の機能を利用することにした。
スタートアップ項目から、以下、各々のアプリ設定画面を開き、
において、「高い」を選択した。
その場で、優先度を変更したい場合、対象のアプリを選択し、
をした後、「選択項目を直ちに起動」または「選択項目を直ちに停止起動」を選択し、アプリを実行状態にする。だめなら、PC を再起動する。
なお、もし、言語バーが消えてしまった場合、Win + R でファイル名を指定して実行するウィンドウを開き
を実行する。